|
こう猛暑が続くと、ロードの長距離は苦しい。仕事が忙しいことにかまけ、熱中症予防を言い訳に、練習がサボり気味になる。そんなことではいかんと、一番短時間で長く乗れる「俺の川」8往復、オーバー100kmを強行した。あああ、あづい〜。肺に入ってくる空気が鉛のようだ。負荷を上げるどころではない。どうにかメニューを消化した帰り、ふと花月園はどうなっているんだろうと思い、寄ってみた。 入り口付近は人気がなく、「関係者以外立入り禁止」の看板がある。なんとも寂しい感じが漂う。そのまま引き返そうかと思ったが、とりあえずバンクを眺めるだけでもいいから中に入ってみることにした。注意されたら謝って帰ればいいんだ。 春になれば見事に咲き誇る桜並木の急坂を上がってみたら、練習を終えた師匠の小島さんとばったり会った。  「おお、どうしたの?」 「鶴見川で走ってた帰りに、寄ってみました」 いきなり嬉しい再会に盛り上がる。 開催は終わったけど、選手はまだ練習できるそうだ。気合いの入った選手たちが以前のようにバンクを走っていた。しかしそれがいつまでできるのかはわからない。 「走れるうちに走りに来てくださいよ。独走やってく?」 「ええっ、今ですか?」 さすがにこの日はすでにフラフラだったので遠慮してしまったが、後日お言葉に甘えて朝練にお邪魔することにした。 数日後、久々にピストを引っ張りだして、小島さんと早朝の花月園を周回していた。400mのバンクを30周。これでさえ結構きつい。  選手の皆さんが休憩している間に、小島さんから声がかかる。 「じゃあそろそろいきますか?」 初めての発走機に自転車をセットする。 2008年一昨年の12月に計ったときは手で持ってもらっての出走。タイムは1:23.21だった。あれから結構走ってるから、20切れたらいいな。 期待と不安に胸が膨らむ。 サドルの上で深呼吸をして息を整える。 「お願いします」と告げて腰を上げ踏み込んでスタート、計測開始だ。 「ソレ!ソレ!ソレ!ソレ!」花月園の選手の皆さんから檄が飛ぶ。 最初にとにかくスピードに乗せるのが肝心、もがく。 1周目ホームに戻ってくると更にかけ声のボリュ−ムが上がる。 イカツイおっさん達の声援に追い立てられるように走る。声の主に捕まったら喰われるぞ。そんな思いでクランクを回すのだが、600mを過ぎると一気に失速。ギアが重い。 2周目のホーム 「オラ!まだまだだ!いけいけ!」 もう完全に野獣に喰われた。踏み込もうとしても脚が終わって、前輪がぶれてさらにタイムがロスする。自転車に乗り切れなかった。 バックストレートから、よれよれになって戻って結果を聞くと、1:20.8だった。 とほほ、とても20切るなんてところまでいかなかった。こんな走りに選手の皆さん引っ張り出しちゃって申し訳ない気持ちだ。普段、競輪選手はもっとすごい客の罵声を浴びながら命がけで走っている。そう考えると、俺は甘いな。 「まだまだ全然出し切れてないよ。歩いて戻って来れるんだから」 本来、1000m独走をやると、競輪選手ですら、一日使い物にならなくなってしまうほど過酷なものらしい。 そんな状態になるってどんな走りなんだ???長距離ばかり走っている自分には想像のつかないゾーンがそこにはあるのだ。1000mの距離にある無限の宇宙。きっとゾーンに突入すると星が見えてしまうんだろうな。 見たくなってしまった。どうしよう。次回は、48×14、3.42のが倍数を変更して、46×14、3.28でトライしてみよう。 気合いをいただいた小島さん、花月園の皆さん、ありがとうございました。
|